昔の「国」の 名の ついた「伝統的工芸品」の 「陶磁器」について
2021/09/02
N2
伝統的工芸品の 陶磁器
経済産業省が「伝統的工芸品」と 認めた 陶磁器は、現在 32品目あります。
そして それらは、22の 都道府県で 生産されています。
陶磁器とは
陶磁器は、「伝統的工芸品」の 品目指定で「陶磁器」に 指定されています。
さらに 細かく 分類すると「陶器」と「磁器」に 分かれます。
その 違いは
- 材料の 土の違い
- 焼く時の 温度の 違い
です。
陶器は 陶土(粘土)を 1100~1200度で 焼きます。
一方で 磁器は 1300度の 高温で 焼きます。
陶石や 長石といった 石の 材料を 砕いたものを 焼きます。
また、歴史を 見ると、陶器は 4~5世紀ごろから 始まりました。
朝鮮半島から「窯」の 技術が 伝わったころです。
磁器は 17世紀の 初めに 朝鮮から 来た 職人が、
今の 佐賀県有田で、磁器の 原料となる「磁鉄鉱」を 発見しました。
陶器に ついて
今回は 磁器よりも 歴史が 古い 陶器を 中心に 説明します。
磁器は 全国各地で 生産されています。
日本六古窯
日本六古窯とは 1000年以上の 歴史が ある 日本古来の 窯です。
これらは 現在まで 陶器の 生産が 続いている 6つの 窯に つけられた名前です。
① 越前(福井県越前市) 旧国名越前国
福井県 北西部の 日本海側では、徳利や 壺などの 日常で 使う 器を 作っています。
伝統工芸品としては「越前焼」が 指定されています。
▼ 越前焼
❷ 瀬戸(愛知県瀬戸市) 旧国名尾張国
椀や 皿、鉢などの 日常で 使う 器が たくさん 生産されていました。
陶磁器で 有名な ものに「瀬戸物」が あります。
これは 瀬戸という 場所で 作られたから 瀬戸物と 呼ばれています。
瀬戸窯は もともと 陶器が 中心でした。
しかし、伝統工芸品に 指定されている「瀬戸染付焼」は 磁器です。
▼ 瀬戸染付焼
❸ 常滑(愛知県常滑市) 旧国名三河国
愛知県に 知多半島という 場所が あります。
ここでは ふだん 使う 器や 壺、甕など、大型の 製品を たくさん 生み出しました。
常滑焼は 各地の 窯に 影響を 与えました。
越前焼、信楽焼、丹波焼などの 元になりました。
伝統工芸品としては「常滑焼」が 指定されています。
▼ 常滑焼
❹ 信楽(滋賀県甲賀市) 旧国名近江国
甲賀市は、琵琶湖の 南部に あり、まわりを 山々に 囲まれた 地域です。
そして 原料の 土に 恵まれた 地域です。
はじめは 常滑焼の 影響を 受けた 壺や 大甕を 生産していました。
大甕とは 甕よりも さらに 大きな サイズの 入れ物です。
そして、その後 すり鉢や 日常品も 作っていました。
特に 信楽の 窯は 大きなものを 作ることができます。
たとえば、「信楽の狸」という 大きな 狸の 置物が 有名です。
伝統工芸品としては「信楽焼」が 指定されています。
▼ 信楽焼
⑤ 丹波(兵庫県丹波篠山市) 旧国名丹波国
兵庫県中央部の 篠山盆地を 中心に、食器や 酒器、花器などを 作っています。
伝統工芸品としては「丹波立杭焼」が 指定されています。
▼ 丹波立杭焼
⑤ 備前(岡山県備前市) 旧国名備前国
岡山県東部の 瀬戸内海から 少し 内陸部に 入った 備前市で 作られています。
茶陶器や 日常で 使う 雑器の ほか、置物なども 作られています。
伝統工芸品としては、「備前焼」が 指定されています。
▼ 備前焼
炻器とは
炻器とは、聞きなれない 言葉かも しれませんが、陶器と 磁器の 中間の 焼きものです。
陶器が 1200度まで、磁器が 1300度で 焼かれているのに 対し、
1200~1300度の 温度で 焼かれるのが この 炻器です。
磁器のように 透明な 感じは しませんが、高い温度で 焼かれているので 陶器の ように 水を 吸い込むことが ありません。
六古窯の 焼き物のうち 高い 温度で 焼かれているものは、炻器に 分類されます。
日本各地には さまざまな 陶磁器を 見ることの できる 伝統工芸館や 博物館が あります。
ぜひ 行ってみてください。
参考:
伝統的工芸品 (METI/経済産業省)
文章・画像提供:
gmaru様