【ぶんか】陶磁器以外の 伝統的工芸品~窯業製品「ガラス」と「瓦」~
2021/10/20
N2
窯業製品とは
土や 石を 材料にして「窯」で 焼いて 作るものを「窯業製品」と いいます。
窯業製品では 陶磁器が いちばん 代表的です。
しかし、実は
の他に、
も 窯業製品です。
この内、伝統工芸品に 指定されている
について 説明します。
ガラスについて
▼ 切子の 花瓶
ガラスの 歴史
世界の ガラスの 歴史
ガラスが いつから 作られ 始めたのかは はっきりとは わかりません。
しかし、四大文明の ひとつ メソポタミアで、4500年頃から 作られ 始めたと 考えられています。
日本の ガラスの 歴史
日本でも 2000年前くらいの 遺跡から、小さな ガラスや ビーズが 見つかりました。
2000年前の ガラスで つくられた 製品は、おそらく 中国大陸からの 輸入品です。
200年頃の 遺跡からは、ガラス炉の 跡と 思われるものが 見つかっています。
美術品としての「切子」
5世紀頃から ササン朝ペルシアで、ガラスの カット方法が 発明されました。
表面に 円の 模様に 切った、特色のある グラスが 作られ 始めました。
東大寺正倉院にある「白瑠璃椀」
白瑠璃椀は、グラスの 口が 120mm、高さが85mmあります。
円形や 亀の 甲羅の 模様(亀甲模様)が ついた 切子の 椀です。
このグラスに 関して 正倉院に 記録が 残っていません。
そのため この椀が いつ 日本に 来たのかは わかりません。
この椀と 材料や 形が そっくりの「円形切子椀」が 東京の 国立博物館に あります。
この椀は 1950年に 大阪の 人の 家から 見つかりました。
そこは 536年に 亡くなった 第27代 安閑天皇の 墓だったと いわれています。
この 2つの 椀は、6世紀の はじめに ササン朝ペルシアで 作られた ものだと 考えられています。
この椀は 完成後、かなり早い時期から シルクロードを 通って、日本に 伝わったと 言われています。
伝統的工芸品としての「江戸切子」
江戸切子は 1834年に 江戸の 町の 加賀屋 久兵衛という ガラス屋が はじめました。
江戸切子は、ガラスの 表面に 彫刻で 模様を つけたことが 始まりと 言われています。
それほど お金を 持っていない ガラス屋だったため、透明な ガラスへ 細工を することが 主流でした。
切子の 模様も、着物にも よくある 菊や 麻の葉の 和風模様が 中心でした。
(菊の柄)
(麻の葉模様)
「薩摩切子」
薩摩切子は「江戸切子」から 生まれました。
「江戸切子」を 越えたとも いわれています。
1846年に 島津藩主が 加賀屋久兵衛の 弟子の ガラス職人を スカウトしました。
そして 切子を つくりはじめました。
当時、薩摩藩は 日本でも 有数の お金持ちの 藩でした。
そのため 薩摩切子を 日本の 特産品にしようと、思い切った 投資を しました。
結果、ガラスに 様々な 色(紅・藍・紫・緑など)を つけることに 成功しました。
▼ 様々な 色の 切子
しかし この薩摩切子は、薩摩藩主の 死亡や 工場の 火災などにより、30年ほどで 衰退してしまいました。
この薩摩切子が 作られなくなったときに、江戸切子も 薩摩切子の 影響を 受けました。
そして、様々な 色の 切子が 人気に なりました。
薩摩切子は いちど 途絶えてしまいました。
1986年に また作られはじめましたが、伝統的工芸品には 指定されていません。
「瓦」について
瓦の 歴史
瓦の 歴史は たくさん あります。
しかし 中国では 紀元前900年~800年ごろに 屋根に 瓦を 使っていました。
日本では 588年頃に 朝鮮半島から 4名の 瓦を 作る 技術者が 来ました。
お寺の 屋根の 瓦づくりを 始めました。
日本三大瓦
7世紀ごろから 奈良を はじめとして 全国各地で 瓦が 作られました。
そして 17世紀ごろから、特に 3つの 地域が 有力な 産地に なりました。
それぞれの 旧国名を つけた 三つの 瓦が 三大瓦と ばれています。
その 三つは
- 「三州瓦(三河国、現在の愛知県東部)」
- 「淡路瓦(淡路国、現在の兵庫県淡路島)」
- 「石州瓦(石見国、現在の島根県西部)」
です。
三州瓦
三州瓦といえば、昔は「いぶし瓦」と 呼ばれる 銀白色の 瓦が 中心でした。
現在は「赤瓦」と 呼ばれる 赤い 色が 少し ついた 瓦や 釉薬が ある 瓦も 作られています。
屋根の 飾りに 使われる「鬼瓦」だけが「三州鬼瓦工芸品」として 伝統的工芸品に 指定されています。
淡路瓦
淡路国(いまの 兵庫県淡路島)では、「淡路のいぶし瓦」と いわれるくらい、「いぶし瓦」が 有名です。
いぶし瓦は 光が 当たると 白っぽい、薄い 灰色を しています。
この 灰色は、日本の 瓦として 多くの 日本人が 思い浮かべる 色です。
いぶし瓦は 1000度 程度という 比較的 低い 温度で 焼かれます。
そのため、瓦に 水が 浸み込みやすいです。
このため「いぶし瓦」は 関西地区で 雪の 降らない 地域で よく 使われています。
石州瓦
石州瓦は 赤い 瓦として よく 知られています。
日本では 冬に 気温が 下がって、瓦が 割れてしまうことが あります。
しかし、三州瓦や 淡路瓦は 冬の 寒さにも 強いです。
石見国では 冬に 雪が 積もります。
そのため、ここで 作られる 石州瓦は 1200度以上の 高温で 焼いて つくります。
これによって 瓦は 水を 吸いにくく、気温が 下がっても 割れにくいです。
このため 石州瓦は、寒くて 雪の 多い 山陰の 沿岸地区や 山の 近くで 人気です。
この 瓦は 寒さに とても 強いので、北陸や 東北、北海道からの 注文が あります。
ロシアからも 注文が 来ることが あります。
参考:伝統的工芸品 (METI/経済産業省)
文章・画像提供:gmaru様